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2024/03/29

社内 DX の基盤として Microsoft Power Platform を導入、「プロ開発」によるアプリケーションでグループ全体の業務改善へ

「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」をグループ企業理念に掲げ、8 つのカンパニーで持続的に企業価値を向上させている伊藤忠商事株式会社。DX にも積極的に取り組んでおり、RPA などを活用した社内業務改善も着実に進めています。この社内業務改善のために 2022 年から活用されているのが、Microsoft Power Platform です。ローコードも活用した「プロ開発」のアプリケーションを短期間で提供しながら、より柔軟かつ効果的な業務改善が目指されたのです。導入からわずか 1 年あまりで、20 を超えるアプリケーションを実現。Power Platform で作成されたアプリケーションを利用しているカンパニー数も、既に 7 カンパニーに上っています。今後は社内カンパニーのみならず、海外も含め約 600 社あるグループ会社・関連会社にも Power Platform を展開し、グループ全体の業務改善を加速する基盤として活用していく計画です。

ITOCHU Corporation

RPA だけでは限界があった業務改善、これを乗り越えるために Power Platform の導入へ

顧客の価値観に沿った新しいビジネス モデルの構築や、さまざまな商流におけるイニシアチブ発揮をどのように行うか。このような観点から DX を積極的に推進しているのが、伊藤忠商事株式会社 (以下、伊藤忠商事) です。そのために「消費者接点の高度化」に注力すると共に、サプライチェーンにおけるコスト改善や社会課題への対応も促進。「マーケットインによる事業変革」の基本方針の下、グループ全体で「DX の実用領域」を拡大し続けています。

その一方で、社内支援体制の構築も着実に推進。この取り組みの一環として行われてきたのが RPA の活用です。2017 年に他ベンダーの RPA を導入し、2018 年にはその活用を支援する「CoE (Center of Excellence)」を設置。その翌年には社内へのツール提供/活用支援のみならず、業務改善のコンサルティングも含めた支援へと拡大しています。

「社内 DX ではツールを提供するよりも、その前段となる業務改善のほうが重要です」と語るのは、CoE で中心的な役割を果たす伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部 DXプロジェクト推進室で、室長を務める黄瀬 貴信 氏です。しかし RPA を導入してから 2 ~ 3 年経過した時点で、「RPA で本当に業務改善できるのか」という懸念が生じてきたと振り返ります。

「2021 年には RPA だけではなく、OCR やチャット ボットなども活用していましたが、これらを使ってもコストがかかるばかりで、効果が小さい案件が増えていました」と言うのは、伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部 DXプロジェクト推進室の山地 雄介 氏です。業務改善の効果を高めるには、既存アプリケーションを RPA でつないで自動化するだけではなく、新たなアプリケーションやシステムが求められるケースが少なくないのだと指摘します。「しかしその開発や導入にはコストや納期がかかり、急速に変化し続けるビジネスへの柔軟な対応が困難です」。

そこで着目したのがローコード開発でした。2021 年 7 月からローコード プラットフォームの調査を開始、最終的に Microsoft Power Apps をはじめとする Power Platform の導入を決定するのです。その理由について山地 氏は次のように説明します。

「実は他にも複数のローコード開発製品を検討したのですが、アプリケーション設計の自由度や柔軟性が高く、ユーザー画面も使いやすいことから、Power Platform の採用を決めました。また、トータル コストを抑えやすいことも評価しました」。

正式導入前にはトライアルとして、実際のアプリケーション開発も行われています。ここで作成されたのが、それまで煩雑な作業が必要だった「RPA ライセンス管理」のアプリケーションです。2022 年 9 月に Power Apps での開発に着手、2023 年 1 月には全社展開され、現在も利用され続けています。

アプリケーション開発はプロフェッショナルが実施、UI は専門デザイナーが参画

2022 年 12 月には Power Platform の本格活用を開始。ここでまず作成されたのが「動静確認アプリ」と呼ばれるアプリケーションです。

その内容について「商社の重要な業務の 1 つに、輸出入する荷物を載せた船が今どこにいるのか、荷物がいつごろ届くのかといった情報を確認する『動静確認』という業務があります」と説明するのは、アプリケーションの企画および開発を担当した、伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部 DXプロジェクト推進室の永井 夕莉花 氏。従来はこの業務を担当する従業員が、船会社の Web サイトで船の動静を検索したうえで船の情報を集約したスプレッドシートを作成・更新しており、これにかなりの負荷がかかっていたのだと言います。「そこで Power Automate を船会社などの社外システムと API 連携させ、そこから得られた情報を Microsoft Dataverse へと集約、Power Apps で作成したアプリケーションで参照できるようにしています」。

この後も、グループ会社が関係する取引案件の管理アプリケーションや、広報部門が使用する記者情報管理アプリケーションなど、わずか 1 年あまりの間に 20 本以上の業務改善アプリケーションを実現。伊藤忠商事には 8 つの社内カンパニーがありますが、そのうち 7 カンパニーで Power Platform で作成されたアプリケーションが活用されていると言います。

これらのアプリケーションの中でも現時点で最も新しいのが、営業部署向けに開発された商談・顧客管理のアプリケーションです。これは部署の財産である顧客情報や商談情報を蓄積し共有することで新たなビジネスの創出に繋げる CRM アプリケーションであり、社内の営業システムや会計システムともデータ連携しています。

伊藤忠商事におけるローコード開発の最大の特徴は、プロフェッショナルによる開発体制を敷いていることだと言えるでしょう。ローコード/ノーコード開発というと「市民開発」が話題になりがちですが、伊藤忠商事では DXプロジェクト推進室を中核とした CoE が、ユーザー部門の業務内容に関するヒアリングから、業務改善コンサルティング、アプリケーション開発、さらにはその継続的な改善までを引き受けているのです。

「市民開発も効果があればやるべきだと考えていますが、そのためにも先ずは事業部門の DX に対する意識を高める必要があります」と黄瀬 氏。現状では DX への意識が高い従業員がまだ多いとは言い難い状況であり、社外のプログラマーやオフショア リソースも活用しながらプロ開発で行うのが、自社に最も適したアプローチだと判断したのだと説明します。

もちろん画面設計にも専門のデザイナーが参画しています。これによってユーザーにとって使いやすい、洗練されたユーザー インターフェイス (UI) を実現しているのです。

「たとえば現在開発中のプロジェクト管理アプリの UI では、できるだけ 1 つの画面に必要な情報を集約し、画面遷移が少なくなるように設計しています。また色使いもできるだけシンプルにし、ユーザーのストレスを最小化できるように工夫しています」。

Power Platform は有償版を採用、Dataverse の活用で高度なデータ処理を実現

もう 1 つ注目したいのが、ローコード開発ツールとして Power Apps、RPA として Power Automate を使うだけではなく、Dataverse も活用している点です。Dataverse を利用するには有償版 Power Platform ライセンスが必要になりますが、このような選択をした理由を、伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部 DXプロジェクト推進室の村井 希 氏は、次のように説明します。

「Power Apps で作成したアプリケーションのデータ保管場所としては、SharePoint を使用するケースも多いようですが、テーブル間のリレーションが必要な場合には、SharePoint ではなく Dataverse の方が適しています。また利用組織ごとの権限管理も Dataverse の方が容易であり、社外システムとの連携も視野に入れた『プロ開発』のツールとしても、Dataverse を選ぶべきという判断がありました」。

Dataverse に蓄積された情報を、生成 AI である Azure OpenAI Service で活用する、という取り組みも始まっています。その一例が、前述の「商談・顧客管理アプリ」へと実装されつつある「商談情報の自動要約機能」です。

「Dataverse に蓄積されたデータは、生成 AI のデータ ソースとしても有効活用でき、生成 AI の利用画面も Power Apps で簡単に作成できます。商談・顧客管理アプリの商談自動要約の機能も、1 ~ 2 週間で作成できました。今後は商談を録音しておくだけで CRM に登録必要な情報が自動入力されるよう Speech to Text による音声入力なども実装したいと考えています」 (永井 氏)。

現在の「商談・顧客管理アプリ」はまだプロトタイプの段階ですが、今後はさらに機能拡張していくと共に、社内でニーズのある部署に広く展開することも計画されています。これによって全社の CRM 基盤を確立し、社外向け DX の土台にしていこうと考えられているのです。

それでは Power Platform の活用は、どのようなメリットをもたらしているのでしょうか。

村井 氏は「ローコストかつ短期間での業務改善に大きな効果を発揮しています」と指摘。また永井 氏も「細かいところにまで配慮したアプリケーションを短期間で開発でき、その改善要望への対応も容易です」と語っています。さらに、Azure OpenAI Service などの各種 Azure サービスや、外部システムとの連携が行いやすいことも、大きなメリットだと述べています。

これに加えて「Power Platform を業務改善のツールとして活用することで、DXプロジェクト推進室メンバーのスキルが向上していることも重要な成果です」と言うのは黄瀬 氏です。すでに Power Apps による開発パターンはできあがっているため、今後はさらに高速な開発が可能になるはずだと言います。

「これからも社内 DX は、Power Platform を中心に展開していく計画です」と黄瀬 氏。他ベンダーの RPA 製品もまだ使用されていますが、これを Power Automate に移行することも検討していると語ります。「対象ユーザーも社内カンパニーに限定せず、海外も含め約 600 社あるグループ会社や関連会社にも拡大していきます。すでに 2024 年 3 月には、グループ向けの Power Platform 基盤の提供も開始しています」。

Power Platform の導入によって、社内 DX の可能性を一気に拡大した伊藤忠商事。今後どのようなアプリケーションで業務改善を実現していくのか、これからも目が離せません。

“社内 DX ではツールを提供するよりも、その前段となる業務改善のほうが重要です。海外を含めたグループ企業にも Power Platform の基盤を提供し、グループ全体での業務改善を進めていく計画です”

黄瀬 貴信 氏, IT・デジタル戦略部 DXプロジェクト推進室 室長, 伊藤忠商事株式会社

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