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金融業界における ESG 投資の課題とソリューション

屋内庭園を流れる滝

多くの企業が、環境、社会、およびコーポレートガバナンス (ESG) を自社の製品やサービスに組み込むことが、直接的あるいは間接的に業績に寄与することを認識しています。投資家にとっても、ESG の観点はもはや標語などではなく、投資の意思決定における重要な役割を果たしています。

また、金融機関は資本の配分者としてサステナブルな未来を形作る上で重要な役割を果たします。FT.com のレポートによると、ESG 関連の上場投資信託 (ETF) は、2020 年に世界で前年度比 2 倍の 1,200 億ドルを超えました。ESG ファンドが市場の指数よりも優れたパフォーマンスを示したという証拠も示されはじめています。同様に、投資銀行は記録的なペースでグリーンボンドを発行しています。ESG 投資は、バイサイドとセルサイドの両方で重要なビジネスチャンスを表しているといえるでしょう。

ESG データ活用におけるソリューション

投資家にとって、ESG データを分析して活用することの重要性は明らかですが、実際に活用する際においては解決すべき課題も数多く残されています。

まず、企業の ESG への取り組みを開示する基準が複数存在し、投資家はどの基準を参考にすれば良いのか明確でなく、また複数の基準を用いて評価する標準的な手段が確立されていないということが挙げられます。これは、開示する企業側にとっても投資家側にとっても大きな問題です。

サステナビリティを評価するためのデータ (および分析結果) を提供するデータプロバイダーはグローバルで 300 社以上存在します。しかし、同じ企業でもデータによって異なる評価を得ていたり、あるいは評価項目が限定的だったりするため、ポートフォリオに組み入れる銘柄を ESG の観点でスコアリングする際に「正しく」評価することが難しいという課題が存在します。

ESG データ検証に関する基準が欠如していることにより、いわゆる「グリーンウォッシング」または「ソーシャルウォッシング」を見逃す可能性があり、それは結果としてセグメント全体の信頼性を損なうことに繋がります。

こうした ESG 関連の課題を解決に向けて、米国の大手カストディ銀行であるバンク・オブ・ニューヨーク・メロン (BNY Mellon) は、マイクロソフトのクラウドおよび AI テクノロジーを活用し、ESG データ分析サービス ”ESG Data Analytics” を開発しました。

アセットマネージャーやアセットオーナーはこのツールを利用することで、これまでよりもより正しい ESG データ活用の標準的な目線を持つことができ、透明性が高くより投資家の ESG プリファレンスに合わせたポートフォリオの作成が可能となります。標準的な目線を社内で共有することもできるため、社内のそれぞれの部署でバラバラの基準が使われてしまうことも防止できます。

ESG データ分析: ESG Data Analytics (BNY Mellon)

ESG Data Analytics は Microsoft Azure 上に SaaS として構築されているため、クライアントは特別なソフトウェアの導入なしに使い始めることができます。すでに数十の顧客企業が本ツールを使い始めており、そうした顧客からのフィードバックを受けて、継続的な改善が続けられています。

若い世代をターゲットとするグリーン チャレンジャーバンク

金融業界におけるサステナビリティに関する取り組み事例をもう 1 つ、ご紹介しましょう。イタリアの銀行であるメディオラナムが 2020 年に設立した Flowe というチャレンジャーバンクです。

Flowe はサステナビリティにフォーカスを当てた “グリーン チャレンジャーバンク” とも言える新しいタイプの銀行です。サステナビリティに関して大きな関心を持つミレニアル世代、Z 世代をメインターゲットとして設立されました。

Flowe - グリーン チャレンジャーバンク

同社は、銀行スマホアプリ、無料 ATM 引き出し、バーチャルカード、ApplePay / Google Pay 対応、グループ口座などに加えて、再生木材で作られたデビットカードの提供など、顧客がサステナビリティの意識を高めて地球環境に貢献するためのさまざまな機能を提供しています。

例えば、顧客が買い物をするたびにどれだけ CO2 を排出しているかをリアルタイムで表示する機能を提供しています。これに対して、顧客は排出した CO2 に相当する量の植樹をアプリから行うことができます。このように、顧客がよりサステナビリティの意識を持てるようなナッジを活用したサービスを提供することで他のチャレンジャーバンクとの差異化を図っています。

また、Flowe は基幹系システムをカーボンニュートラルである Microsoft Azure 上に構築しており、マイクロソフトが提供する Microsoft Sustainability Calculator を活用することで、Azure 上で稼働するシステムが排出する CO2 を正確に把握可能です。これにより、同社は Carbon Neutral 認定 (排出する CO2 を相殺する企業) も取得しています。

ESG データ可視化: Microsoft Sustainability Calculator

欧州の比較的若い世代は自らがサステナブルな生活を営むことに大きな関心を持っており、環境問題に積極的に取り組む企業を評価するようになってきています。

Flowe の親会社であるメディオラナムは、ESG 取組みの一環として Flowe を設立し、自社をサステナブル銘柄としてアピールすると共に、若い世代を積極的に取り込む戦略を実行しているといえるでしょう。

テクノロジーによる ESG 支援を加速

テクノロジーとイノベーションは、ESG 投資の重要な要素になっています。AI、ロボット、ビッグデータなどの技術は ESG 投資決定に必要な時間と人手を減らすだけでなく、より正しい投資戦略と透明性をもたらします。

マイクロソフトとそのパートナーは、テクノロジーを通じてグリーンウォッシングなどの見逃しを減らすと共に、企業が独自の ESG 投資基盤を確立できるよう支援しています。可能な限り多くの企業が ESG 目標を達成できるよう、今後もこの分野に投資し、サステナブルな社会への貢献を行っていきます。

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