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【アステラス製薬 / 第一三共 / B-EN-G による 3 社対談】 Azure 基盤上に倫理指針への柔軟な対応を実現する 倫理・ボランティア システムを構築

アステラス製薬、第一三共、B-EN-Gの社員による集合写真

アステラス製薬、第一三共、B-EN-Gの企業ロゴ

 

最先端の医学、健康科学や医療技術の研究においては、たとえば細胞医療研究や遺伝子解析のように、患者さんや研究協力者 (ボランティア) から提供された、生体サンプルや医療情報を用いた研究 (医学系研究) の重要性が高まっています。

一方、このような医学系研究を行う際には、「個人情報の保護に関する法律」、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」など、多くの法令・指針等を遵守しながら、生体サンプルや医療情報を取り扱うことが強く求められています。そして、こうした研究活動にかかわる法令・指針は、社会情勢の変化に伴い、改訂や改正が頻繁に行われている状況にあります。

ビジネスエンジニアリング株式会社 (以下「B-EN-G」) は、アステラス製薬株式会社 (以下「アステラス製薬」)、および第一三共株式会社 (以下「第一三共」) と共に検討を重ね、研究活動に関わる多くの法令・指針等に沿って、最先端の創薬研究を推進し、多様な研究の進捗管理を実現するために、倫理・ボランティアシステム「bReev-CS」をパッケージ製品化しました。

今回は、大手製薬企業が共同で使用されるクラウドシステムに求められる要件、そしてその基盤として Microsoft Azure を選定された理由について、お話を伺いました。

 

bReev-CS 共同開発の背景 ~

大手製薬 2 社に共通した課題。「同業他社でも同じことをやっているはず」

倫理・ボランティアシステムとは、創薬研究における医学系研究の実施に向けた倫理面の申請、承認から実施、報告、記録の保管といった一連の過程と、研究で必要となる生体サンプル提供のための研究協力者 (ボランティア) の募集や実績の管理までをカバーする、統合化されたワークフロー システムのこと。複雑な業務を効率化し、多数の関係者間のコミュニケーションロスを減らし、コンプライアンスを高めることができ、ミスが許されない製薬、医療業界のビジネス プロセスを支えます。

bReev-CS のパッケージ化にいたる以前、第一三共とアステラス製薬の両社は、それぞれ自社開発したオンプレミスのシステムで運用していたと、第一三共 バイオロジクス本部 主査の岡部 邦典氏は当時の状況を語ります。

第一三共の社員が語る様子

「頻繁に発生する法改正に柔軟に対応できないことが当時のシステムの最大の課題でした。また、カバー領域が限定されていたため、ほかの社内システムと手動で組み合わせて使っていました。しかし、その方法では “運用の隙間” ができてしまいます。さらに、システムそのものの老朽化、ハード、ソフトの保守切れという問題もありました」

同社 研究統括部 研究基盤管理グループ 主査 山田 親臣氏も、事業側の立場として、つぎはぎ状態のシステムに課題感を持っていました。

「申請は Web、承認は専用アプリケーション、通知の仕組みを作成する場合もさらに別のシステムを利用する必要がありました。開発当時の事情はあったようですが、システム連携しない状況はビジネスの正確性やスピードを損なうものでした」(山田氏)

その当時、アステラス製薬、第一三共とも、それぞれで医学系研究のための社内申請システムを使用していたものの、いずれも老朽化が進んでおり、将来的な運用管理が大きな課題となっていました。

「法令や指針の改正は頻繁に行われます。そのため、環境の変化に即座に対応できるシステムの構築が必要でした」と、アステラス製薬 情報システム部 R&D パートナーグループ 課長 小林 弥生氏は語ります。

改正内容の解釈違いに懸念があったと説明するのは、同社 研究本部 研究統制部 コンプライアンスグループ課長 柴田 洋氏です。

「法令・指針等は、企業として必ず遵守しなければなりません。しかし、改正に伴う変更をシステムに反映しきれないケースもあり、研究の進行が妨げられる事態も発生していました。また、指針の解釈に迷い、どのように対応すべきか判断が難しいこともありました」(柴田氏)

「国が出した指針への対応は、どこの企業もやっているはず。各社がそれぞれ自前でシステムを開発 (スクラッチ開発)しているならば、システムの共同利用はメリットが大きいと考えたのです」と、小林氏はパッケージ化にいたった理由を振り返ります。

アステラスの社員が語る様子

 

共同利用への挑戦。指針変更に即座に対応できるシステムを

アステラス製薬は、業界各社の IT 担当者が集まる医薬情報システム研究会で、倫理・ボランティアシステムの共同利用に参画する企業を募りました。そして最終的には、アステラス製薬と第一三共の大手 2 社で、共同利用するシステム要件のすり合わせ作業が始まりました。

半年のあいだ、両社は毎週、顔を合わせた打ち合わせを行い、綿密な確認を続けました。

そして RFP (提案依頼書) を作成し、大きく 4 つの要件を定めました。

  • クラウドを活用した共同利用
  • 共同利用にともなう、適正なコスト (利用料)
  • 倫理研究申請から承認、計画書の出力や集計など、複雑な業務を 1 つのシステムで完結する
  • 高度なセキュリティを担保できる

東洋ビジネスエンジニアリングの社員が語る様子

クラウド化を念頭に置いたのは、複数企業による共同利用と、法令・指針等の改正に対してシステムを柔軟に変更して対応できるためです。特に慎重な取り扱いが必要とされる「要配慮個人情報」を扱うために、厳しいセキュリティ要件を満たすクラウド基盤は必須でした。各社がそれぞれで機密情報を扱うため、マルチテナントで構築する仕様も想定されました。

こうした厳しい要件を満たすことができたのは B-EN-G。そこで同社が開発したクラウドサービス「Business b-ridge」上に構築することが決定されました。

「Business b-ridge」はエンタープライズのお客様向けに BtoB のビジネスプロセスのデジタル化を実現する、SaaS 型のアプリケーション プラットフォームです。 開発当初より、ご利用のお客様が同じサービスをセキュアに利用できるようにマルチテナントのサービス構築も志向していました。また、運用の効率化やサービス拡張の迅速性、開発の効率性を考慮し、基盤に PaaS を選択することを前提としていました。

「エンタープライズ向けの SLA が規定されている PaaS サービスは、当時は Azure だけでした。また、AD (Active Directory) や Azure AD のなどの認証機構との連携サービスをはじめとした各種サービスが PaaS として充実していたこともポイントでした」(三浦氏)

また、強固なセキュリティポリシーが求められる製薬業界、医療機器業界のクライアントを多く持つ同社にとっては、サービスとして高度なセキュリティ要件を満たしていることも重要な要件でした。連携範囲が広い業務アプリケーションに必要となる高可用性も欠かせないポイントであり、「エンタープライズ分野で使える高い信頼性が 1 番の決め手」だと三浦氏は振り返ります。

 

3 社対談 ~

他社と共同して作り上げた、新しい倫理・ボランティアシステム「bReev-CS」

Business b-ridge を基盤にした倫理・ボランティア コラボレーション サービスは「bReev-CS」と名付けられ、運用が開始されました。

本プロジェクトのプロジェクト マネジメントを担当した、B-EN-G ソリューション事業本部 第 2 営業本部 デジタルサービス営業部 セールスエンジニア 三浦 淳平 氏を交えて、開発にかかわった 3 社対談の形でお話を伺いました。

 

―― 共同利用において各社内での固有の業務プロセスなど、共通しない部分はどのように対応しましたか?

「綿密なすり合わせによる解決です。本プロジェクトでは、指針 1 項目ごとに対して、解釈や運用方法まで細かくすり合わせて、2 社の共通解を出していただけたのがとても助かりました」(三浦氏)

「ビジネス側が IT 部門側に歩み寄ってくれたことが今回の成功要因だと考えています。共通化のために社内だけでなく、両社でもすり合わせをすることで、指針に対する解釈の統一や業務プロセスの標準化にもつながりました」(岡部氏)

「このように他社とすり合わせを行うのは初めてのことでしたが、運用面で一部、それぞれの企業の選択が異なったくらいでした。全体の 90% ほどは同じ作りになっています」(柴田氏)

 

―― システムの共同利用において、セキュリティの課題はどう解決しましたか?

「本プロジェクトは例えるなら『戸建て型』と捉えています。同じモデルルームから、それぞれに合わせた家を建てるイメージです。それぞれのデータは、戸建ての中に入らないと見えませんので、セキュリティ要件は戸建て型の方が高いと言えます」(三浦氏)

「Business b-ridge が利用しているクラウド基盤は、ビジネス利用に多くの実績があるMicrosoft Azure です。3 省 3 ガイドライン適応など、ヘルスケア関連や政府関連の認定を多く取得しているため、安全・安心なクラウド基盤だと考えています」(三浦氏)

 

―― 導入後、どのような効果や変化がありましたか?

 「以前は申請から審査、承認までの業務プロセスは、複数のシステムをまたいでいたため、複雑で工数もかかる業務でした。導入後は、それまで 1 週間かかっていたものが、1 ~ 2 日に短縮できるなど、大幅に効率化されました」(山田氏)

「以前は案件ごとの進捗状況が分かりづらかったのですが、メッセージ機能や一斉通知機能があるため、コミュニケーションロスは格段に減少しています」(柴田氏)

「クラウド化して、共同で利用することによって、コストだけでなく、プロセスの標準化や正確性にも効果があり、ビジネスのやりかたが変わった点こそが、bReeV CS の価値だと考えています」(三浦氏)

アステラス製薬、第一三共、B-EN-Gの社員が語り合う様子

 

―― 今後の展望をお聞かせください

 「アステラス製薬でも第一三共でもない、共通の基盤を作り上げられました、これはとても大きな、『智の結集』です。これを我々 2 社だけで共有するのではもったいないと思っています。多くの企業が参画すれば、より良いものに成長させていくことができると考えています」(小林氏)

「今回は、たまたま似た運用をしていた 2 社が共同検討しましたが、『うちはもっとシンプルにしている』『うちはもっと厳しくしている』という企業もあるでしょう。さまざまな企業にも参画していただいて、システムが成熟していけば、我々運用側としても選択肢が増えることにつながりますし、より効率化できるようになると思っています」(柴田氏)

「ここまで育てて作り上げてきて、妙に愛着があるんですよ (笑)。導入前には旧システムからの移行期間が半年くらいかかるのではないかと懸念していたのですが、実際は 3 カ月ほどで移行できました。今後も改善を重ねて、精査されて、さらに良くなっていくという実感があります」(山田氏)

「開発中は『使いづらいんじゃないか』とても心配していた山田さんから、『愛着がある』というコメントが聞けたのが、プロジェクト成功の証しですね (笑)」(岡部氏)

参画する企業が増えるほど、業界のベストプラクティスがすべて盛り込まれた、質の高いシステムに進化することが期待されます。

「先行 2 社様のご協力で、精査され洗練されたシステムが構築できましたが、まだ発展のポテンシャルがあるシステムです。今後は当システムのモデルそのものを共同利用する『マンション型』の展開も視野に入れています。戸建て型ほど開発に手をかけずに、すでに出来上がっているマンションの部屋に住む、という選択を用意したいと考えています」(三浦氏)

個別にスクラッチで開発をするといった旧来の在り方から、業界標準を目指し、複数企業が協力し合うという新時代の取り組みは今後も拡大していきます。

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